『大塚国際美術館』これだけは絶対見るべき作品10選

大塚国際美術館』が、世界から選りすぐった1000点以上の名画の陶板複製画から、たった10点を選ぶという無謀な企画。

 

名画と美術館の特性を総合して選んだ、これだけは見逃せない10選とその魅力を紹介!

ゆっくりまわる時間がある人も、ない人も、本当の価値を知ってから見ると絵画の見かたが変わりますよ。

 

ではさっそく美術館のルート順に紹介しましょう。

 

1.システィーナ・ホール(システィーナ礼拝堂天井画/壁画)

作者:ミケランジェロ 所蔵:システィーナ礼拝堂(バチカン市国) 展示階/区分:B3/ルネサンス(環境展示)

大塚国際美術館のシンボル的存在。

『環境展示』という、絵画だけではなくその周りの環境空間も再現した展示になっています。

入口に一番近い作品で、ここを見ない人はまずいないと思いますが、外すわけにはいきません。

 

盛期ルネサンスを代表する巨匠で、「神のごとき」と称されたミケランジェロ。

ここに再現されたのは、彼が4年半の歳月をかけ描いた、天井を埋め尽くすフレスコ画と、その20年後、祭壇画として5年の歳月をかけて描いた「最後の審判」

ゲーテに「人間がどれほど偉大なことを成し遂げられるか、システィーナ礼拝堂を見るまでは、誰もわからないだろうと」と語らせたミケランジェロの画。

システィーナ礼拝堂のスケールそのままに、それらミケランジェロの画が再現されたこのホールは、足を踏みれたものを圧倒させます。

大塚国際美術館で最も見るべき作品でしょう。

 

2. エル・グレコの大祭壇衝立画 復元

作者:エル・グレコ 所蔵:プラド美術館(スペイン)/ルーマニア国立美術館(ルーマニア) 展示階/区分:B3/バロック(環境展示)

ルネサンス後期のマニエリスムからバロックにかけての巨匠エル・グレコの作品が並ぶ部屋。

 

中央には大祭壇衝立画 復元として、16世紀終わりから17世紀はじめにかけて描かれた、6枚の絵が展示されています。

本物は戦禍により絵が散逸してしまって、胎告知(中央下)、キリストの洗礼(右下)、キリストの磔刑(中央上)、キリストの復活(左上)、聖霊降臨(右上)はスペインの美術館に、受羊飼いの礼拝(左下)はルーマニアの美術館に分かれて所蔵されています。

大塚国際美術館では、全ての画を大祭壇衝立に復元させて展示しています。

一度にこれら見ることができるのは、この美術館だけです。

 

3. アレクサンダーモザイク

作者:不明 所蔵:ナポリ国立考古学博物館(イタリア)展示階/区分:B3/古代

名だたる巨匠の名画を押しのけて、作者不明のこれを選びました。

紀元前1世紀頃の作品で、テッセライ・モザイクの最高傑作と言われています。

教科書などで一度は見たことある絵だと思います。

アレクサンドロス(アレクサンダー・アレキサンダー)大王の説明には、ほとんどこの絵が登場するので。

5.12×2.72mと巨大なこの画は、遠くから見ると普通の絵ですが、近づいて見ると作品名のとおり、小さな石片などを集めてモザイク状に描かれた物だとわかります。

実際の制作を考えると気が遠くなりそうです。

そんな画の各所の姿は実物大の作品でしか体感できないもの。

離れて近づいて、その全容を味わってください。

 

4. スクロヴェーニ礼拝堂 壁画

作者:ジョット 所蔵:スクロヴェーニ礼拝堂(イタリア) 展示階/区分:B3/中世(環境展示)

ルネサンス絵画の祖、また西洋絵画の父と言われるジョットが、14世紀初めに描いた礼拝堂を埋め尽くす作品。

有名な『ユダの接吻』と呼ばれる画をはじめ、登場する人物たちそれぞれの細かな心情や行動を描いた、物語を感じる作品に埋め尽くされた空間です。

 

聖書を生身の人間の現実に引き出して、ここまで描いた表現は当時他にはなく、それが中世の画家に分類されながら、ルネサンス絵画の祖と言われる所以です。

 

大塚国際美術館では『環境展示』による再現で、スクロヴェーニ礼拝堂のスケールそのままに、それらを楽しむことができます。

 

5. アテナイの学堂

作者:ラファエロ・サンティ 所蔵:バチカン宮殿(バチカン市国) 展示階/区分:B2/ルネサンス

レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロとともに、盛期ルネサンスの三巨匠の一人と言われるラファエロの傑作です。

16世紀前半の作品。

 

強烈な個性を持つふたりとは対照的に、そのふたりを含めた先人たちの良さを積極的に吸収し、理想的に統合した画家です。

バチカン宮殿の壁に描かれたこの画も、システィーナ礼拝堂の天井画や、最後の晩餐(後述)、古代ローマの建築などに影響を受け、それを高次元に集約した作品といえます。

 

また古代ギリシアの哲学者たちを描きながら、プラトンにダ・ヴィンチ、ヘラクレイトスにミケランジェロを描いたりと、オチャメな作品でもあります。

 

宮殿の壁画ゆえに本物は現地でしか見られません。

ぜひ原寸で再現された画で、盛期ルネサンスの集大成とも言えるこの作品を見てみてください。

 

6. ヴィーナスの誕生

作者:サンドロ・ボッティチェッリ 所蔵:ウフィッツィ美術館(イタリア) 展示階/区分:B2/ルネサンス

時代を少しさかのぼること15世紀後半に描かれた、初期ルネサンス美術を代表する絵画です。

 

ルネサンスは「再生」を意味する言葉。

古代美術の中心的テーマで、中世には禁止されていた「ヌード」も1000年以上の時を経て再生されました。

 

そしてこれは、古代神話の主題を初めて大きなキャンバスに描いた作品。

ローマ・カトリック教会の宗教的主題に従って皆が描いていた時代では、異教的作品に当たります。

「異教」を主題として、中世の教会が禁じていた「ヌード」で描いた、歴史的意義のある作品。

美術がキリスト教の枠組みから自由を得たことを表します。

 

門外不出と言われてるこの作品。

ヴィーナスと共に誕生した歴史的意義を、ぜひ原寸大の画で感じてみてください。

 

7. 最後の晩餐

作者:レオナルド・ダ・ヴィンチ 所蔵:サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院(イタリア) 展示階/区分:B2/ルネサンス

レオナルド・ダ・ヴィンチ自ら「最高傑作」と公言した、15世紀終わりに描かれた壁画。

 

キリストを神ではなく一人の人間として描き、12人の弟子たちの前で裏切り者の出現を予言した一瞬を描いたこの作品。

宗教画の有り様を変え、登場人物の性格や心理を視覚的に見事表現した、前例のない作品です。

 

1999年に洗浄と修復作業が終わり、後世の加筆や汚れが除去された現在の姿となりました。

そしてここでは、修復前の画も向かいに展示されています。

長きに亘って『最後の晩餐』の姿と思われてきた画と、現在の画を見比べることができるのも大塚国際美術館の醍醐味です。

 

8. モナ・リザ

作者:レオナルド・ダ・ヴィンチ 所蔵:ルーヴル美術館(フランス) 展示階/区分:B2/ルネサンス

世界で最も有名な肖像画と言われる、16世紀はじめに描かれたレオナルド・ダ・ヴィンチの作品。

 

ダ・ヴィンチはこの画を『スフマート』と呼ばれる輪郭線を一切描かず陰影で形態を捉えた技法、『空気遠近法』と呼ばれる遠い背景を青白く描き広がりを感じさせる技法といった、当時独自であった技法を集約させて描いています。

 

様々な分野での科学者でもあったダ・ヴィンチの技術の結晶であるこの画は、門外不出と言われる作品のひとつです。

どの角度から見ても、描かれた女性に見つめられている様に感じると言われるこの画を、ぜひ大塚国際美術館で確かめてみてください。

 

9. 7つのヒマワリ

作者:フィンセント・ファン・ゴッホ 所蔵:個人蔵(アメリカ)/滅失(1945年日本にて)/ノイエ・ピナコテーク(ドイツ)/ナショナルギャラリー(イギリス)/東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館(日本)/ファン・ゴッホ美術館(オランダ)/フィラデルフィア美術館(アメリカ) 展示階/区分:B1/近代

19世紀後半にゴッホが描いた7つのヒマワリを、同時に見られる世界で唯一の場所がここ大塚国際美術館。

各国で所蔵されるヒマワリを一堂に会しただけではなく、焼失して本物が存在しない作品も、陶板複製画にて再現され加わっています。

 

ゴッホは速描きの画家で、その画は油彩が乾かないうちに重ね塗りしていくため、絵の具が盛り上がって独特の力強さを生んでいます。

そんな表現も再現された陶板複製画は、顔を近づけて見るだけではなく、触れて確かめることもできます。

7つのヒマワリのあるこの部屋は、大塚国際美術館でしか味わえない魅力の詰まった展示になっています。

 

10. ゲルニカ

作者:パブロ・ピカソ 所蔵:ソフィア王妃芸術センター(スペイン) 展示階/区分:1F/現代

門外不出で世界一借りにくい絵とも言われる、ピカソの『ゲルニカ』

 

ピカソの故郷スペインのゲルニカ爆撃を主題としている、20世紀を象徴する絵画。

1937年パリ万博での発表当時、すでに名声のあったピカソですが、この絵の評判は一部を除いて芳しくありませんでした。

しかし、その後徐々に評価され、やがて反戦や抵抗のシンボルとなりました。

岡本太郎など、この絵に影響を受けた後世の芸術家は数知れません。

 

ピカソの願いもあって、故郷のスペインに戻ったこともあり、門外不出と言われています。

本物のスケールそのままに再現された大塚国際美術館で、ピカソが込めた熱意を感じてみてください。

 

まとめ

以上、私の独断と偏見で、これだけは見るべき10選を紹介しました。

 

あれれ?ムンクは?モネは?ルノワールは?フェルメールは?

そうです!ほんとは見るべき作品が10点で収まるはずがありません。

 

もっと見るべき作品を知りたい方は、美術館内で配布されている「マップ&ガイド」、もしくは公式ホームページのフロアマップをご覧ください。

モデルコースで、今回紹介した10選も全て含まれた、100点の展示が選ばれています。

モデルコースの所要時間は約1時間20分だそうです。(もっとかかる気がするけど)

 

大塚国際美術館』を楽しむ参考になれば幸いです。

 

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『大塚国際美術館』これだけは絶対見るべき作品10選” に対して2件のコメントがあります。

  1. 荒井貴代美 より:

    1度はいきたいです
    福島県からは飛行機飛んでないようで
    行きかたがわからない
    難しいよう
    ツアーがあればいいのに

    1. TAIGA より:

      東京まで出て飛行機か、大阪まで出て高速バスでしょうか。
      機会があれば、ぜひ行ってみてください。

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